。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
雪斗は悲しそうにちょっと笑うと、
「少し悔しいな……お前の気持ちを全部さらっていった虎間の小倅が。
正直、琢磨にも妬いていたよ。
お前がずっと目で追っていたのは俺じゃなく、琢磨だったからな。
知っていて―――…俺は…」
そこまで言って雪斗は手で顔を覆った。
だけどそれはほんの一瞬で、すぐに顔から手を退けると、
「残念だが俺が百合香の弟だと証明するのは難しい。俺自身も分からないことだから。
だが、
―――方法はなくはない」
雪斗の漆黒の瞳が白い雪景色のような肌に、まるでそこだけホンモノのような輝きを湛えてきらりと光った気がした。
「…お、叔父貴に聞けっての?」
「違う。琢磨は事実を知らない―――でもあながち外れてはいない」
「わけわかんないよ……雪斗…」
困ったように眉を寄せると、雪斗は空を仰ぎ見た。
「そろそろ行かないといけない。
朔羅、最後にもう一つ―――
“白へび”を追え。
“玄蛇”のキーを握る人物だ―――」