。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「「23℃!?」」
あたしたちは二人してリモコンを覗き込んで同じタイミングで声を上げた。
「何で設定温度がこんなになってんだ??
どうりで寒いはずだ。そりゃ雪国の夢も見るわな」
「雪国?」
戒が不思議そうに聞いてきて、
「あ、うん……それがさー…」
あたしはたった今見た変な夢のことを戒に聞かせた。
叔父貴と雪斗に血のつながりがないかも、ってこと、それから“白へび”のことも。
エアコンを切って、幾分か部屋の温度が平常に戻りつつあるとき、
「琢磨さんと雪斗が本当の兄弟じゃない?」
と戒が興味深そうに目を細めた。
きっかけはリコの一言だった。
リコだって特に深い意味があったわけじゃないだろうけど。
まだ放置したままのアルバムを再び引っ張り出してきて、戒の前で見せると
「まぁなー…似てないっちゃ似てないけど…。こればっかりはなぁ。
外見だけで言うと俺も両親のどっちにも似てねぇし。
かろうじて真ん中の兄貴とちょっと似てるぐらい??」
「お前、実は拾われっ子なんじゃね?」
冗談めかして笑うと、
「あるかもしれねぇ。俺様だけ飛びぬけて美しい気が」と戒は冗談なのか本気なのか分からない口調でう゛~んと唸った。
戒の戯言はおいといて~
「夢の中で言ってた。雪斗は今更気にする必要ないって。
でも、あたしにとっては重要だ。
叔父貴と血が繋がっていなければ―――
もう怖い想いすることなんてないんだ」