。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「なぁ、さっき雪斗も言ってた。
ゲンジャって何??」
忍者(ニンジャ)みてぇな名前だ。ってか人の名前かどうかも怪しいもんだ。
でも“白へび”は少なくとも人間だ。だって雪斗は“人物だ”ってはっきり言ったし。
あたしが質問すると虚をつかれたように戒が目をぱちぱち。
「…俺もはっきりとは……ただ、そうゆうヤツが居るってことは噂で…」
戒は珍しく言葉を濁した。
何だよ、噂って。ってかはっきりしやがれ!
「とにかく、タイガはどっちにしろワケ分からん男だからな。
はっきりとした正体が分かるまで、お前もあいつには近づくな。
それから―――…」
戒は目を伏せながら小声で囁くと、あたしの両手をそっととった。
「俺の傍を離れんで―――」
握った指先があったかい。
あの冷たい雪景色の中、凍るように冷たかったあたしの体温をあっためてくれたのは、戒だった。
いつだってこいつは、あたしを温かく包んでくれる。
守ってくれる。
「離れないよ」