。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「ってかその滅びた玄蛇ってのが何で今頃現れたわけ?ってか滅びたんだろ?何で?」
たまねぎを切りながら聞く。たまねぎの匂いがつんと鼻にきて、涙が出てきた。
決して玄蛇が怖かったからじゃないぞ??
「それは知らねぇ。何せ産まれる前の話だからな。
存在すら知らなかったし」
「お前は何で知ったの?」
涙を堪えながら聞くと、
「……琢磨さんから…」と戒が言いづらそうにぼそりと呟いた。
叔父貴が―――……?
「朔羅には言うなって口止めされてん。頼むから黙っといてや」
戒は片目を軽く閉じて、目の前で手を合わせる。
まるで告げ口したことを親にチクるな、とお願いしてる子供みてぇに可愛い仕草だったが、
「俺も戒さんに口止めされてたんで、言わなかったんですけど。
事態が事態なので、報せておいた方がいいかと、俺が進言したんです。
内緒にしてたこと攻めんといてあげてください」
キョウスケが申し訳なさそうに眉を寄せる。
「…別にいいよ。
お前らがあたしに内緒にするって、大概あたしの危険のことを考えてくれてるからだろ?」
いつのもことだし。仲間はずれにして隠してたわけじゃないしな。
あたしが変わらない表情で野菜を切っていると、
ほっとしたように戒とキョウスケが顔を見合わせた。
「んで?玄蛇ってヤツぁどんなヤツなんだよ」
短気そうに聞くと、戒が小さくため息を吐いて、機械的に喋りだした。
「琢磨さんの話によると、どうやらそいつは滅びた一族の生き残りらしい。
しかも歴代最強の殺し屋に育ちやがった。
ヤツは金で動く殺しのプロで、目的の為なら手段を選ばない。
ヤツのコードネームは
スネーク」
スネーク……
蛇