。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
ダメだ、こりゃ。
あたしは戒を諦めながら、こいつを放置して部屋を出ようとした。
が、屈んでいたあたしの体をあっさりと引き寄せると、またも戒はあたしを布団に引きずり込んだ。
「戒!また寝ぼけてんだな!おいっ、離せっ!!」
つい一昨日『離れない』って誓ったばかりだけど、時と状況に寄る。
あたしはぐぃ~と戒を押し戻したが、やっぱり凄い力。
戒は剥がれていくかと思いきや、あたしを一層強く抱きしめて固く目を閉じている。
こいつ…本当に寝てんのか??
とちょっと怪訝そうに戒の顔を覗き込んでいると、規則的な寝息が聞こえてきて爽やかな息があたしの顔にふわりと掛かる。
寝言だろうか、ごにょごにょと何か呟いてるし。
完全に熟睡モードだな、こりゃ。
あたしは戒を再び押し戻し、
「お・き・ろ!!」
と耳元で叫んでやった。
戒が迷惑そうに目をこじ開ける。
「今日は登校日なんだ。
あたしは何が何でも、行かなきゃなんねぇ」
「……かっこいいな…さすが朔羅。さすが俺の嫁…」
ふわふわと笑うと、またも眠りに入る戒。
起きる気ゼロだな。
今度こそ、と言う意味であたしは戒の腕の中から這い出ると、
「今日は秋の文化祭の実行委員を決めるんだ。みんなやりたがらないからな。
欠席したヤツは有無を言わさず委員を押し付けられる運命なんだ。
あたしはやりたくないからな。何が何でも行く」
戒を見おろして襟元を正していると、
ガバッ!
戒が慌てて起き出してきた。
「何っでそれを早く言わねんだよ!!」
だから言ったじゃん。何が何でも行かなきゃなんねぇって。