。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
担任が入ってきて出欠を取っている間も、夏休みの過ごし方なんかうだうだ話しをしている間も…
戒は机に突っ伏して爆睡中。
ま、無理もないか…最近バイトが立て込んでたし、昨日は夜中まで会議だったし…
そんなことを考えているとあたしもうとうと…
―――「文化祭実行委員、誰も決まらないから朝から眠りこけている龍崎カップルで決まりな。
こらっ起きろ龍崎!!」
担任の声とバコっと音がして、前の席で慌てて戒が起き上がっている。
「は!?」
担任の先生は丸めた参考書を手に、笑顔を引きつらせて、
「夏休みだからってたるんでるんじゃないか?
龍崎 朔羅。お前も実行委員だ。
旦那を支えてやれ?」
と一言。
“旦那”って……まぁあながち外れちゃいねぇけど。
夏休み前に付き合ってることを暴露したからか、最近ではあたしたちカップルはすっかり有名になり、先生も公認の仲だ。
そのお陰か、派手なイヤガラセとかはなくなっていた。
けど……
てか実行委員ーーー!!?
いつのまにそんな話になってんの!?
戒が寝起き顔に、無理やり苦笑を浮かべながら、
「俺……じゃなくて僕たち…忙しぃんでぇ~…ちょっと無理かなぁって…」
はたかれた頭を撫でさすりながらむくりと起き上がる。
「あ、あたしも!」
慌てて言うと、
「文化祭で好成績を残したクラスには金一封出るそうだ。お前らはまぁ目立つし、盛り上げてくれよ?」
と担任はあたしたちの抗議を受け流しながらにこにこ。
金一封ってね…あたしたちは金で釣られるような…
「やります!」
戒が勢いよく挙手。
戒…おめぇ目が¥マークになってんぞ。
あたしの旦那は金で釣られました。