。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「朔羅、取替えっこする?そっちの方がいいでしょ」
とリコが親切で、折りたたんだメモ用紙をひらひら。
「や!いいよっ!」
取替えっこなんてしたら千里に悪い気がするし。
何て言ったって、あの喜びようはハンパないからな。
「何だよ川上~、俺じゃ不満?」
と戒が口を尖らせて、だけどすぐに笑顔になると
「大丈夫だぜ?俺がお前をお化けから守ってやる♪いつでも来い!」
Welcome!♪と言って戒が両手を広げる。
「いかないよ」とリコが呆れ顔。
「お前の腕の中が一番危険だ!てめぇリコに手ぇ出してみろ!!縁談は破談だ!!」
小声で忠告すると、
「朔羅さん、怖ぁい」
と急にメガネの声になってリコの後ろにさっと隠れる。
相変わらず代わり身の早い……
「「「リコ、ねぇ!あたしと変わって!」」」
あたしが大人しく千里とペアを組むと知った女子たちはリコたちに猛攻撃(?)
みんな目がマジだぜ。
「「………」」
戒とリコが顔を見合わせて目をぱちぱち。
やがて呆れたように戒が吐息をつくと―――リコの腕を少し強引な仕草で引いた。
「悪りぃけど俺、川上とペア変わる気ないんやワ。
川上、行こう。朔羅、俺ら先行ってるで。ほな」
めちゃくちゃ怒ってるってワケじゃないにしろ、ちょっと声を低めて目を細める戒は不機嫌そうだ。
あたしは見慣れてるから全然大丈夫だけど、戒のこんな姿見慣れてない女子たちが驚いたように声を失った。
「あ…うん」
あたしは不機嫌そうな戒に手を振って、二人の姿を見送った。