。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「これ、俺があげた土産の…つけててくれたんだな」
千里が切なそうに瞳を揺らす。
「へ…ま、まぁ」
気の抜けた返事を返しちゃったけど、千里は気にしてない様子。
「お前『蛇かよっ』て言ってたし、つけてくれないかと思ったから。
何か考えたらあれだよな~…
お前のピンクの可愛いケータイに蛇のストラップってのも不釣合いかな…とかあとからあれこれ考えちまって。
俺ってセンスないな…とか、ちょっと後悔したけど…」
千里が恥ずかしそうに頭を掻いて、顔を背ける。
「ううん、ありがてぇよ!だって白へびさまって守り神だろ!お守りみてぇに思ってるから」
あたしが慌てて言うと、千里は照れくさそうに顔を戻して、
「小さい頃からさ…俺が守ってやらなきゃ、って思ってたけど、
お前大人しく俺に守られてるような女じゃねぇし。どっちかって言うと俺より強いし」
う゛………ま、まぁ…
色々否定できない。
「やっぱ女ってさ、強い男が好きなんだよな…龍崎とか…キョウスケさんとか…お前の叔父さんとか…」
千里はどこか遠くを見る視線でぽつりと呟いた。
「べ…別に単に強いから好きになったわけじゃねぇよ。
ってかキョウスケは違う。あいつはあたしの兄さんみたいだから」
それでも納得がいってないのか、千里はむ~と小さく唸って腕を組んだ。
「あのさぁ、あたしが強い男が好きって言うその法則だったら、鴇田のことも好きになってるってことだろ?
あと変態タイガも、キョウスケだって恋愛対象内に入るだろうし、他の組員だって。
それはぜってぇないし、あたしを単細胞みたいな言い方すんな」
思わず千里を軽く小突くと、
「ほらっ。第一関門だ。理科室にスタンプポイントあるみてぇだから、行こうぜ」
あたしは千里の腕を引っ張った。