。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
千里の腕が雪斗の手の感触に重なる―――
でも…
怖いとは感じなかった。
また
タイガのときに感じたあの雰囲気。
兄貴でもない、弟でもなくて―――
何でだろう。あたしはこいつのこと昔っから知ってるからか?
男って言うよりも―――やっぱり性別を超越した
―――大切な友達だ。
あたしは千里の胸を押し戻すと、真正面から千里を見上げた。
「ごめん、千里。
あたしは戒が好き。あいつじゃないとダメなんだ」
あたしがはっきりと言うと、千里は眉を寄せた。
「何で……。俺はやっぱり男に見れない?」
そう聞かれて、あたしはぎこちなく頷いた。
「お前いいやつだよ。あたしのこといつも考えてくれて、
どんなときも一緒にいてくれて、
だけどやっぱり
彼氏彼女って関係にはなれない。
あたしが好きな人はお前じゃなくて、
戒だから。
でも
あたしは友達以上に千里のこと好き。
それだけは分かってほしいんだ」
早口に言って、あたしは千里の腕を握った。
やっと…
やっと言えた。
この言葉を―――
伝えなきゃいけない、この言葉を。