。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「分かってほしい、なんて身勝手なこと言ってるって分かってる。
でもこの気持ちは嘘じゃないから。
お前が男に見えたら―――あたしはあんたの隣に居られない。
詳しい理由は話せないけど―――前に……怖い―――想いをしたから…」
最後の方は俯いてしまった。声が震えてる。
千里の顔がまともに見られない。
千里はなんとなく、分かっただろうか。
親友だってのに隠し事とかイヤだけど、やっぱりこれだけは知られたくないんだ。
大好きな幼馴染だから―――
軽蔑されたくないし。
そんな思いで唇を噛み締めて俯いてると、
「そか……分かった。何があったかは聞かないけど、俺はやっぱりお前を守りたいよ。
過去は変えられないけどさ、これからのことだったら―――なんとでも変えれる気がするじゃん」
千里は無理やりと言った感じで笑って、あたしの手を引いた。
「失恋したって言うのかな。ホントはお前と龍崎が付き合うってこと聞いたときからフられてたんだろうけど、
やっぱお前の口からちゃんと聞きたかったって言うのかな。
なんかすっきりした」
千里は強引に笑って、
「ちゃんと向き合ってくれてありがとな。
でもしばらくは……忘れらそうにねぇわ」
こめかみを指の先で搔くと、遠くに視線を彷徨わせた。
「なぁんか、フられたってのに未練がましくてかっこわりぃけど、今更俺かっこつけたってなぁ…昔から知ってる仲だしなぁ」
「千里はかっこわるくないよ。さいこーにかっこいい男だ!」
あたしが勢い込むと千里は目をぱちぱち。
「かっこ悪いなんて言うな。お前はホントに…男の中の男だよ」
あたしの言葉なんて慰めにもなんないだろうけど、でも本当にそう思ったから。
「あ、あはは!サンキュな!ちょっと自信もてたかも~」
千里はわざと明るく笑って
「ほら、スタンプ押して行こうぜ~」といつもの調子であたしの腕を引く。
あたしも安心して歩き出したときだった。
ドンっ
千里が何かにぶつかって…
ってかここ暗過ぎだ。危ねぇっつの。
そう思ったと同時だった。
千里がぶつかった棚から、大きなダンボールのようなものがあたしたちの頭上に落ちてきた。
「千里、危ねぇっ!!」
思わず千里を突き飛ばそうとしたけれど、それより早く
「朔羅!危ない―――!!」
千里に強く腕を引かれて、あたしは頭を抱き寄せられると
ドンッ
ガタガタっ
派手な音がして、あたしを庇うようにして背中を丸めた千里にダンボールが直撃した。
中に何が入ってるのか分からなかったけれど、音からしたら結構な重さだと思う。
千里の体がぐらりと傾き、
床に崩れ落ちた。
――――千里―――…!
「俺が守る。朔羅を―――」
ダンボールがぶつかる瞬間、千里の声を聞いた気がした。
――――『白へびを追え』
雪斗の声を思い出す。
『白へびは君にとって守り神だ。大事にしたまえ』
タイガの言葉も。
千里…
千里――――!!