。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



―――!!?


誰!?


あまりに驚きすぎて、叫ぶこともできない。


龍崎くんはあたしの様子に気付かず、


「あ、あったあった~スタンプ♪」と言って、こちらに背を向け音楽室の机に置かれたスタンプコーナーをマイペースに眺めている。


りゅ、龍崎くん!!


叫びたかったけれど、


力強い手のひらがあたしの口を塞いで、息をするにも苦労。


おまけにスピーカーから流れている音楽で、あたしの暴れようとする足音もかき消されている。


「川上さん、頼むから静かにしてくれ」


懇願するような声に、脅しのような感情は浮かんでいなかったけれど、


聞き慣れた声にあたしは目を開いた。


それはさっきこの…きもだめしに誘ってきた




青山くんの声だった。




青山くん!?どうして?


とゆっくり思う暇もなく、無防備な背中を向けている龍崎くんの背後に椅子を頭上に持ち上げた男子生徒の影を見てあたしは息を呑んだ。


あんなのまともに当たったら脳震盪を起こすに違いない。


それどころか打ち所が悪ければ……!


「何なに?時間帯も記入しろ?だと~。ちっ、面倒くせぇなぁ」


龍崎くんは全然気付いていないのかマイペースに、机の上に置かれたペンを握っている。


りゅ、龍崎くん!!


心の中で警告するように叫ぶと同時だった。


「あれ?これインク出ねぇじゃん?」


椅子が龍崎くんに向かって振り下ろされる。







龍崎くん―――!!










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