。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
第一ポイントの音楽室を出て、あたしたちはまた並んで歩き出した。
「てか俺って相当恨まれてんね。ちゃんと断ってるのにサ」
「モテる男は辛いね。やっかみとか。あたしは十人並みで良かった~」
なんて言うと、
「そっか?川上は可愛いぞ?顔も性格も」
龍崎くんは真顔でさらり。
へ!?
って、真に受ける可愛い女じゃないわよーだ。
「女の子全員に言ってるんでしょー」ちょっと目を吊り上げると、
「言ってねぇって。俺嘘はつかねぇよ」
龍崎くんは呆れたようにあたしを見下ろしてきて
へっ!?
またもあたしは間抜けな顔。
「えっと、次は美術室だ」
龍崎くんだけはマイペースに地図を覗き込んでいる。
そのときだった。
バタバタっ
駆け足の音が聞こえてきたと思うと、
ドンっ!
急に誰かが龍崎くんにぶつかった。
「…ぉっと。大丈夫?」
その誰かの両肩を支えながら龍崎くんがよそ行きの声で問いかける。
「……あ…ごめんなさい!」
この声―――…
ぶつかってきたのは、
マドンナ新垣 エリナだった。