。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
*戒Side*
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** 戒Side **
「これは?痛いか?」
一ノ瀬の足首をちょっと動かすと、
「いっ!!」一ノ瀬は苦痛に顔を歪ませて背中を丸めた。
ちっ。まずいな。
「腱が切れてる可能性がある。こりゃ相当痛てぇだろ?」
そう聞くと、一ノ瀬は無理やり笑顔を作って、
「大丈夫だって。ちょっと歩けないぐらいで」と強がっている。
朔羅が居る手前、痛がれないってのもあるのか。
「腱って、アキレス腱のこと!?てか何で無理するんだよ!」
朔羅が涙が混じった声で一ノ瀬の肩を叩き、
「痛って!俺にはお前のパンチの方が痛てぇよ」と冗談なんて飛ばしている。
二人が何でこの場所に来たのか謎だったが、とりあえずは…
「下手に動かさないほうがいい。先生と救急車呼ぶから、ここで待ってろ」
「救急車ってそんな大げさな」
一ノ瀬はムッとなって俺を睨んできたが、
「一生歩けなくなってもいいって言うんなら、いいけど?すぐに手術しねぇとヤベぇぞ」
警告してやると、
「手術!?」と朔羅の方が慌てる。
だが救急車を呼ぼうにもこの場所はケータイが何故か圏外だ。
「女子は全員ここに居て一ノ瀬についてやってて。俺先生呼びに行く」
「あ、あたしも一緒に行く」
何故か新垣 エリナも立ち上がり、
いや、俺一人走って行った方が早いし、と言おうとすると、
「マドンナを連れてってよ。千里の怪我で朔羅は不安定なんだよ。
この状況にライバル同士が顔を合わせてたらどうなると思うのよ」
と川上に小声で言われて、俺は吐息をつきながら
それもそうかと納得。怪我してる一ノ瀬も気心の知れたツレだけの方が気が楽だろうし。
まぁ新垣 エリナが朔羅に何かするとか言う攻撃的な女じゃないことは確かだが、
ここで残していくのも心配だ。
「新垣さん、行こう」
俺は新垣 エリナを促して理科室を出た。