。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「あ、あたしも書く~」
リコが千里のパジャマの裾をちょっとめくって
「ホントだ。いっぱい書いてある」と目をぱちぱち。
…してたのは数秒。
「ん??」
「どした?」
あたしがリコの視線を辿ると、
“好きです。一ノ瀬くん”
と言う文字が。
名前は書いてないがいかにも女の子っぽい丸っこい文字。
ぅお!!大胆だな!!ってか誰!?
「千里、あんたもやるじゃな~い♪」
リコがバンっと千里の足をはたいて、
「いってぇ!!なんだよっ!!」千里は慌てて起き上がりながら顔をしかめた。
「あ、あはは…ごめんごめぇん。だってここに愛の告白が書いてあるからぁ」
「愛の告白ぅ?」千里が訝しそうに眉間に皺を寄せ、告白文が書いてある部分に視線をやった。
その文字を目に入れたのか、千里が目を丸めて顔を赤くする。
「…ホントだ。ってか誰だろ」
「知らねぇのかよ。見舞いに来た女子覚えてねぇのか?」
「女子は来てねぇよ。ってか起きてるときは。半分は寝てたし…」
千里は自信なさそうに首の後ろに手をやって
「てかこれじゃ誰だかわかんねぇじゃん」と面白く無さそうに口を尖らせる。
「秘めた想い♪何かわくわくする~」とリコ。
伝えれない気持ちを告白―――…かぁ。ロマンチックだが、誰だか分かんないじゃ意味ねぇよな。
でも…みんながみんなストレートに想いをぶつけられるわけじゃないし、
秘めた想い―――か。
人は“好き”じゃなくても、誰かしら何らかの感情を秘めているものだ。
例えば
殺意
とか?