。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
下から眺める響輔は何だか新鮮。
細い顎のラインが目に入り、その上を辿ると上下の長い睫がいつもより、より際立って見えた。
時々メガネを直して真剣にレポートに向かう響輔。
やっぱりかっこいいし…
タイプじゃないのにやたらとかっこよく見えるのは『恋』のマジックね。
なんて思いながら、いつの間にかうとうと。
響輔の膝……心地良い。
そんなことを思っていると、
ふわっ
何かが肩の上に掛かった。
ちょっと目を開けると、響輔があたしの脱いだコートを手繰り寄せて肩に掛けてくれているところだった。
「…その格好、寒そうやし。風邪ひくで」
ぶっきらぼうにそう言ってコートを掛けてくれると、再び響輔は視線を前に向ける。
響輔…やっぱり優しい…
でもそう言った響輔の方が寒そうに肩を撫でている。Tシャツからむき出しの腕をさすりながら
「温度上げるか」とぽつりと呟き、エアコンのリモコンを手にしたけれど、
その手をあたしが阻んだ。
「その必要はないわ。
抱き合えば、あったかくなると思わない?」