。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



響輔は再びあたしのコートを肩に掛けると、


「戒さんの言うたことはほんまのことやで?


ここに非力な女を強引に犯すような人はおらへんけど、100%の保障はでけへん。


そうやすやすと近づくもんやない」


響輔はさっきの冷たい視線から一転、あたしを心配するように目の端を下げてあたしの髪をそっと撫でた。


その温かさに思わずポロリと堪えていた涙の粒が零れ落ちる。


「ほら、送ってくさかい、帰ろ?」


響輔があたしの両肩を抱いて立ち上がらせると、部屋の外に促した。


虎間 戒はちらりとこちらを見たけれど結局何も言うことなく、さっきの怖いほどの迫力をしまいこみ、遠くの方を見ている。


あたしはコートに袖を通すと、


「外まででいい。あとはタクシーでも拾うわ」


わざとそっけなく言って響輔の手を払った。


何だか自分がひどくかっこわるくて、こんなかっこ悪いところ響輔に見られたくなかった。


それでも響輔は気を悪くした様子ではなく、


「行こ」


あたしの背中を押して、ちらりと虎間を気にしたけれど、彼からふいと視線を逸らして先を行く。


パタン…


襖が閉じられた音が聞こえて、あたしはその部屋を振り向かずに前を進んだ。


玄関を出るまであたしたちは一言も




会話を交わさなかった。





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