。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
響輔の言った通りちと荒療治だったが、あれだけ脅しておけば今度からそうノコノコ一人で来ることはないだろう。
それにしても―――
スネークの野郎が何を考えているのかさっぱりだ。
イチをここに送り込んだのはきっとワケがある筈だが…
殺し屋がイチの命を握っている状況に、俺たちが迂闊に近づけないって知ってるはずなのにわざわざ送り込んできたってのは
こっちを挑発しているのだろうか―――
俺はちょっと考えるように腕を組んで、
「てか壱衣さんが響輔んとこに女が来てるとか言うから、俺てっきり川上かと思うたんやけどな」
「リコさんが?何故そうゆう発想になるんですか。
俺に何の用がある言うんですか」
響輔が怪訝そうに目を細める。
何の用って……
そりゃ川上は響輔のことが好きだから。
まだ気付いてねぇの?どうしたらそんなに鈍感に生きれるんだよ。
ってか考えりゃあの川上がそんな大胆なことしねぇか。
ヤクザな俺に平手打ちを食らわす大胆さはあるのに、響輔に対してはメールを送るのさえドキドキして乙女全開だ。
てか女に平手打ちされたの…朔羅以外はじめてだぜ…ちょっと新鮮♪
………
て、俺は変態かっつうの!
と、まぁ俺の事情はさておき、
まさかイチだとは思わなかったから、しかもイチに押し倒されてる響輔を見て
久しぶりにビビった。
キマヅイのなんの!
中学のとき夜のプールに忍び込んで、最中のときに警備員に見つかって、
あのときもかなりビビったが、あのときの警備員の気持ちがちょっと分かったり…
「お前、ヤるときはつっかえ棒しとけよ」
真剣に一応アドバイスするも、
「せやから、違うんですって!!」と響輔は全否定。
珍しい。こいつが焦ってるところあんま見たことないから。
「それより何か俺に用があったんやないですか?来客中にわざわざ部屋に来るってのは」
不機嫌そうに言われて俺は
「ああ!」とここに来てようやく本来の目的を思い出して
ジーンズのポケットからトランプの箱を取り出した。
「ほんまは人数多い方が良かったんやけど、しゃぁない、二人でやろや」
ポンっとトランプの箱をテーブルに投げると、
「二人で楽しくトランプゲームって雰囲気……やなさそうですね」
響輔は苦笑を漏らした。