。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
何回目かのゲームが終わり、響輔のレポート用紙に書いた正の字がだんだん増えつつある。
今のところ12敗、5勝ってとこ。
この数字が17敗0勝だったら言うことなしだけどな。たとえ俺が負けていても文句は言えない。
それだけに響輔を勝負に使うことを考えるから。
しかし響輔だって不敗ではない。この数字の確率だったら下手な勝負には出られないな。
「裏ポーカーに行くまでは何で勝負を?」
響輔が聞いてきて、俺は手札を睨みながら
「それは決まってる。
ルーレットだ。あれだったら下手な小細工なしに勝てる自信はある」
と呟いた。
「ブラックジャックはお前に任せる。ただカードのすり替えはでけへん。
テーブルダウン(ゲームの終了を言い渡されること)されたら危険やからな」
「地道にがんばりますよ」
「その代わりルーレットには勝利の女神の力が必要や。
朔羅を借りていくぜ?」
俺が挑発的に笑うと、
「勝利の女神の“動体視力”が必要なんでしょう?ええですよ、がんばってください。
何せチップ代は俺から出てるわけですからね。
お嬢と戒さんが二人で組んだらカジノは破産ですね。
まさに最強ペアや」
響輔はちょっと面白く無さそうに肩をすくめ
「レイズ」してきた。
そしてその手札は
ハートの7~Jのストレート・フラッシュ。
……響輔…怖ぇえよ…