。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



勝敗の正の字が十個も並ぶと流石に疲れる。


「だぁー!もうっ!やっぱり普通に勝負じゃヤツらには勝てねぇ」


ちょっと弱音を吐くと、


「確率が一定じゃありませんしね。ある程度運も必要ですから…」


響輔もさすがに疲れを滲ませた顔でタバコを吹かして、よく見ると灰皿には二人が吸った吸殻がいっぱいになっていた。


部屋が煙で充満してる。


「どうすりゃいいんだよ」とカードを投げ出しテーブルに突っ伏すと、


「まだ最後の手段があるじゃないですか。それなら確率は100%にいかないまでも80%以上の確立で勝つことができます。


ただしこの技は戒さんしか使えない」


響輔が真剣に言って俺の額を指差す。


「やっぱその手しかねぇの?」


ここまで意味のないゲームまでやって??と半ば泣き声交じりで響輔を見上げる。


響輔は「それしかありません」


と冷たい。


くっそ、響輔め。最初からそのつもりだったに違いねぇ。


やるのは俺なんだからな。


しかもそんな能面響輔に勝てない俺。


最後のあがきと言わんばかりに、俺は心理的攻撃をしかけることにしてみた。


てか、こんなこと今しか言えん。


作戦・試験ゲーム中の今なら響輔の意識がゲームに集中してるに違いないから。


「響ちゃん…」


そっと声を掛けると、響輔が訝しそうに眉をちょっと吊り上げた。


「なんですか?」ドローで二枚カードを交換した響輔が俺を無表情に見てくる。


俺はびくびくしながらも、三枚のカードを交換。





「新垣 エリナがバイト先のカフェに来た。



んで、明日から同じバイト店員になるって…」





扇形に広げたカードの端を揃えていた響輔の指がぴくり、と動き


ゆっくりと俺に目を向けてきた。


……ぅわ…


やっぱ言うんやなかった!響ちゃん怒ってる!


と早速後悔…


俺はそろりと響輔から顔を逸らすと、響輔はため息混じりに聞いてきた。


「どうするつもりです?」


「どうするも何も、相手が何を考えてるのかさっぱり分からんから動くに動けねぇ」


「何を考えてるか?そんなの戒さんが好きだからに決まってるじゃないですか。


一結のパターンと同じですよ」


響輔が忌々しそうにタバコの煙を吐き出し、


「そ、そうね……」


不機嫌響輔にこれ以上何も言えず…


てか反論できん。





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