。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「はぁ…すっげぇなお前、運がいいぜ」
あたしは戒のカードを眺めて目をぱちぱち。
「アホ。ここまで揃えるのにただの運だけやでけへん」
戒がちょっと安心したように肩をすくめ、
「運だけじゃ…ってことは…お前またイカサマかよ」
そう言えばさっき新しいカードで、って言ってたしな。
どんな仕掛けがしてあるんだ?とちょっとカードを眺めるもそれは新品だけど、どこにでもある安っぽいトランプのカードだった。
「イカサマじゃありません。それにそのカードはどこにでもある市販のカードです。
だから証拠も残らない」
響輔が真顔で説明をくれたけど、イカサマじゃなかったら何だって言うんだよ。
「もっとも原始的な方法で勝ったんだ。
ただこれにはハンパない集中力と記憶力がいる。
疲れるぜ」
戒は肩がこったのだろうか、肩もみをして後ろに手をつく。
「この一回の大勝負に勝てればそれで充分ですよ。
何せ巨額な金が動く裏ポーカーですからね」
裏ポーカー……
クラブZの裏カジノの!?
「な、なぁなぁ!どうやって勝ったんだよ!
カラクリはどうなってんだよ!」とあたしが聞くと、
「簡単なことだよ、これはなー…」
戒が説明をしようとしてくれたときだった。
「お嬢?メガネとキョウスケと一緒に居るんですかぃ?
夕飯呼びに行ってそれきりどうされたんですか?」
襖の向こうでマサの声が聞こえて、
「あ、そだ!お前ら夕飯!!」
「そいえば腹減ったな」と戒が腹を押さえて、
「俺も」とキョウスケものんびり。
二人が立ち上がり、結局戒がどうやって勝ったのかは不明のまま。
あたしも空腹には勝てない…ってことで、
そのまま三人で居間に向かった。