。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
夕食の冷奴を食いながらタクが、
「おめぇ、なんかいい匂いすんな」
と、隣に座ったキョウスケの顔の近くで鼻をくんくん。
茶碗を手にして白米を口に入れながらキョウスケが気味悪そうにちょっと顔をしかめるも、
「女物の香水だ」
とタクが探るように聞いて、キョウスケは
「「「ゲホッゴホっ」」」
盛大にむせた。
その咳はキョウスケ一人じゃなくて、何故か壱衣とサスケも同じように咳き込んでいる。
戒を除くそれ以外の男どもが怪訝そうに一斉にあたしを見てきて、
あたしはぶんぶん手を振る。
確かに一緒の部屋には居たけど、移り香が移るほど接近したわけじゃない。
あたしの香水…チェリーブロッサムじゃねぇぞ?
「あ、あれだ、キョウスケ今日大学行ったんだよな?そこでつけてきたんじゃね?」
と壱衣が無理やり笑って、
「で、電車の中とか?」とサスケも同意。
二人とも必死感がハンパない。
どうしたって言うんだよ、二人とも。
隣で戒が「フっ」と意味深に…楽しそうに笑って
あたしは益々「?」マークを浮かべることに。
「タクの野郎、鼻が利くな」
「“女”の気配に嗅覚犬並みだな」
ひそひそと壱衣とサスケが会話を交わしている。
「てかやっぱりあの女…キョウスケのスケ(女)?」
「メガネだって居るのに白昼堂々と…キョウスケ…やるな。
大人しそうな顔してあなどれねぇヤツだぜ」
スケぇ?一体誰のこと言ってんだよ。
あたしは耳をダンボにして二人の会話に耳をすませたが、
「女狐は俺が追っ払ってやったぜ。安心しな」
戒が楽しそうに言って豚の生姜焼きをぱくり。
女狐??益々何を言ってるのか分からなくてあたしだけ一人取り残された気が……