。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「花火大会の日、あたしの家に送ってくれてる最中、響輔さんに電話が掛かってきたの」
リコはとつとつと喋りだした。
「何か緊迫した様子で、珍しくちょっと慌ててた。電話の相手に関西弁で受け答えしてたし、響輔さんの親しい人かな…って」
関西弁?
「あー…それなら相手は戒じゃね?」
っつても、あいつも帰ってから響輔のことに関して何も言ってなかったし。
大きなトラブルがあった風でもなかった。
あの日、響輔が慌てるような……思いつく限りのトラブルと言やぁ……
鴇田の事故―――……?
「もしかしてドクターかも」
でも何で響輔に電話??あいつ響輔の連絡先知ってたのか?
あたしが考えている向かい側でリコはゆっくりと首を振った。
「ううん。ちょっと電話の声が聞こえてきたけど
若い女の人―――の声だった」
若い女―――……?
リコが悲しそうに目を伏せる。
今にも泣き出しそうに瞳を滲ませていて、あたしは慌てた。
「き、きっと大学でのトラブルだよ!ほら!ゼミには女も居るっぽいし」
そうだよ。
すぐ、こっちの世界に結びつけるのは悪い癖だ。
あいつだってあいつの生活があるわけだし、普通に生きてりゃ…ってか普通じゃないけど、とにかく生きてりゃ何らかのトラブルはあるだろうし、それを避けて通れない。