。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


「花火大会の日、あたしの家に送ってくれてる最中、響輔さんに電話が掛かってきたの」


リコはとつとつと喋りだした。


「何か緊迫した様子で、珍しくちょっと慌ててた。電話の相手に関西弁で受け答えしてたし、響輔さんの親しい人かな…って」


関西弁?


「あー…それなら相手は戒じゃね?」


っつても、あいつも帰ってから響輔のことに関して何も言ってなかったし。


大きなトラブルがあった風でもなかった。


あの日、響輔が慌てるような……思いつく限りのトラブルと言やぁ……






鴇田の事故―――……?





「もしかしてドクターかも」


でも何で響輔に電話??あいつ響輔の連絡先知ってたのか?


あたしが考えている向かい側でリコはゆっくりと首を振った。


「ううん。ちょっと電話の声が聞こえてきたけど


若い女の人―――の声だった」


若い女―――……?


リコが悲しそうに目を伏せる。


今にも泣き出しそうに瞳を滲ませていて、あたしは慌てた。


「き、きっと大学でのトラブルだよ!ほら!ゼミには女も居るっぽいし」


そうだよ。


すぐ、こっちの世界に結びつけるのは悪い癖だ。


あいつだってあいつの生活があるわけだし、普通に生きてりゃ…ってか普通じゃないけど、とにかく生きてりゃ何らかのトラブルはあるだろうし、それを避けて通れない。






< 67 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop