。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「―――…取り引き…?」
俺が低く呟いて、片方の眉を吊り上げながら新垣 エリナを見上げると
新垣 エリナが怯んだように背中を後退させた。それでも懸命に俺から視線を逸らそうとはせずにまっすぐに俺を見てくる。
「そ。取り引きだよ。
一日だけ付き合って。
あたしとデートして」
デート……?
意外な言葉に俺の方が面食らった。
何を思ってその発言をしたのか気になる。
「…いや、俺には朔羅がおるし…
浮気はせぇへん主義なんや」
予想外の言葉に今度は俺の方が若干たじろぎながら新垣 エリナを見ると
「分かってる。
だから一回だけでいいの。
お願い―――」
懇願されるように『お願い』と頼んできた新垣 エリナの真意が掴めずに、俺は目だけを上げて
「新垣さんて
俺のこと好きなの?」
そう聞いていた。
新垣 エリナはおずおずと俺の頭に手を伸ばして、そっと俺の髪に触れると
俺の頭を両手で包んで
そっと顔を下ろした―――
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