。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
あたしはリコを宥めるようにリコの隣に回りこんで、座った。
「あ、あたしが聞いてみようか!そうゆう女が居るのかどうか!」
あたしが勢い込むと、
「ううん、それはいい!大丈夫、自分のことだし」とリコが顔を上げる。
微苦笑をして何とか笑っては居るものの、その笑顔はどこか力がなかった。
「何か…ごめんね……朔羅の心配してここまで来たのに、あたしの方が話聞いてもらっちゃって……」
「ううん!そんなことない!!どんどん話してよ!」
いつもリコには聞いてもらう方だったから、今度はあたしが聞く番。
あたしが力強く言うと、リコは小さくため息を吐いた。
「あたし、今まで男の人と…千里以外の人と二人きりで歩いたこともなかったから、
響輔さんとはじめてデートっぽいことができたから、
きっと舞い上がってたんだと思う……
だから現実突きつけられて、いきなり真っ暗……」
はじめて……
リコがはじめて隣に連れて歩いたのがキョウスケで、リコはその先の“はじめて”もキョウスケを望んでいるのだろう。
メールして、二人きりで会って、手を繋いで、キスをして―――
そうやって一つずつ“はじめて”を重ねていくんだ。
あたしはリコがすっげぇ大事だし、すっげぇ好きだから、リコが一番納得のいく“はじめて”がリコにとって一番大切な人とできるよう
願っている。
「朔羅もやっぱり最初、龍崎くんと二人きりになったりすると緊張した?」
リコが話題を変えるように、わざと明るく言った。
リコにとっては何気ない言葉なのに、
どうしよう
あたし―――泣きそう………