。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



仕事を終えて、ロッカールームに引き返す。


ばっかみたい。


自分が何だか凄く惨めだった。あんなに楽しく戒とリコを交えて案を書き出したのに。


はりきり過ぎってぐらい豪華なイラストも描いたのに。


全部無駄だった―――


ぐしゃり


あたしはロッカールームのゴミ箱に丸めたそのレポート用紙を投げ入れた。



戒の気持ちも



夏フェアのアイデアも一瞬でさらってった新垣 エリナ。


可愛くて、優しくて頭が良くて気が利く―――


それ以上のもの…あたしに何があるって言うの…



バタン!


やや乱暴とも言える仕草でロッカーを閉めると、


誰も居ないロッカールームで、



ぅわぁあああああん!



思い切り声を上げて泣いた。




―――


着替えが終わり、まだバイト中の戒を残してあたしはカフェをあとにした。


家に帰るべきだけど、帰りたくない―――…


いずれ戒も帰ってくる。そしたらあたし平然とあいつに接せれないよ。


リコに相談しようか。一瞬そう思ったケド、そしたらリコのことだから戒を問い詰めるために弾丸のように突っ走っていくに違いない。


まだ確かめたわけじゃないし。



でも




確かめるのが怖い―――





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