。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「はじめてじゃないよ」
あたしはリコを真正面から見て、静かに口を開いた。
ずっと黙っていたこと。ずっと知られたくなかったこと。
でも
リコはあたしのこと心配してわざわざ来てくれた。
リコは、あたしに真正面から気持ちをぶつけてくれた。
いつだってあたしを元気付けてくれようと、一生懸命だ。
だから―――あたしもちゃんと言わなきゃ。
ちゃんと向き直らなきゃ。
「……まぁそりゃ同居してるわけだし、その辺曖昧なのかな」
リコがキョトンとして小首を傾げる。リコは「戒と二人きりになる」と言うことに対しての答えだと解釈したようだ。
でも
「そう言う意味じゃなくて……
あたし
キスもエッチもはじめてじゃない」
あたしの言葉に、リコが目を開いた。
「―――……えっと…それって、朔羅に元彼が居たってこと??え?でも朔羅付き合った人は龍崎くんがはじめてって…
でも龍崎くんとはまだ―――だよね……
え―――…?」
リコが考えるように眉を寄せて、困惑したように額に手を置いた。