。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




キュ


俺はシャワーの蛇口を閉めて、頭にタオルを被せると乱暴に拭いながら脱衣所のすりガラスを空けた。


カラッ


開けた瞬間、目の前には湯けむりの中に浮かび上がる





響輔―――…??





ガラっ ピシャッ!


反射的に再び戸を閉めて首を捻る。


あれ??今、響輔が居たような…


でも俺、確かに“使用中”の札掛けたはず。


見間違い?ってか幻?


てか俺まだ全然目が覚めてるってのに、幻とか。


目が疲れてんのかな?


てか、どうせなら朔羅の幻が見たかったてのに。


気を取り直して


カラッ


またも開けると、





「戒さん、あなたに選択肢をさしあげます。


俺のシャドウファントムか、東京湾。





どちらがいいですか?」





見間違いなんかじゃない。幻なんかじゃない。


すぐ目の前に突っ立った響輔は指を二つ立て低く聞いてきて、


シャドウファントムか…東京湾…ね。




「…何げにグレードアップしてね?


てか選択肢その二つしかねぇの…?死ぬ前提?」





俺はマッパで引き腰。顔を引きつらせて固まると、


響輔がバスタオルをズイと突き出してきた。


ついでのようにドライヤーを取り出し、スイッチを入れる。


ゴォオ


ドライヤーの音に負けず劣らずな声で





「ほかにもありますよ?感電死とか?



その状態で死んだら、みっともなくてご先祖様にも顔向けできませんよね」






響輔が不気味な笑顔を浮かべた。




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