。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
俺は虚を突かれたように目をぱちぱち。
「…お、俺のは悩んで胃が痛んだんじゃないヨ。食い過ぎだ」
慌てていい訳するも、
「食い過ぎって程食ってなかったじゃないですか」
響輔の呆れ顔がすぐ近くにあって、俺はその事実に少し安心した。
ホットミルク効果か?ちょっとだけ胃の痛みが和らいだみたいだし。
「戒さんて見かけによらず繊細ですね。考えすぎで胃を壊すとか」
響輔がちょっと笑って
「見かけによらずだけ余計だ、アホ」
と俺は憎まれ口を叩くまで回復した。
「今は一時休戦です。
ほら、今日は寝てください」
まだ汗の浮かんだ俺の額を響輔はそっと拭うように撫でて、俺の前髪を掻きあげる。
くすぐったそうにちょっと笑うと、
「なんか変なの」
普段ならたとえ幼馴染でも気持ち悪いし、嫌がって離れるのに―――
今は心地良い。
「ええんやないですか?いつかのお返しですよ。
そうやと思いたないけど、俺がお嬢に失恋したとき、あなたがこうやって隣で添い寝してくれたときのように」
「そうやと思え」
俺が口を尖らせると、
響輔が長い睫を伏せて目を閉じて口元に淡い笑みを浮かべた。
「まったく、手のかかる弟で困りますね」
弟やないもん。お前は幼馴染やー。
でも、ほんまの兄ちゃんより頼れるし、今は―――
安心する。
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