。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「キョウスケっ!大丈夫か!」
と壱がキョウスケを助け起こし、キョウスケのことももちろん気になったが、
それよりも早くあたしは近くにあったバスタオルを引っつかんだ。
戒はユズに腕を掴まれていたが、それを乱暴に振り払っていて、ユズはまだ戒の背中にある彫り紋に気付いていないのか
その力が思いのほか強かったことに驚いている。
怒りに猛りくるっている獰猛な“虎”。
鋭い牙をむき出し、たった一撃で八つ裂きする爪を振りかざす虎。
戒の今の感情を現すような虎の紋が、戒の背中にはいっぱいに広がっている。
それを見られるわけにはいかない。
バサッ!
「おめぇ何やってンだよ!!」
あたしは猛り狂った虎を鎮めるようにタオルを戒の肩に乱暴に被せると、戒の険しかった視線が少しだけ揺らいだ。
まるで呪縛が解けたかのようにはっと目を開いて、呆然とあたしと周りの状況に視線を巡らせる。
ぎゅっ
“恥じらい”はどこへ行った??と疑問を浮かべる余裕もなく、
とにかくあたしはほとんど裸の状態の戒を必死に抱きしめていた。
紋が見られないように。
「おめぇ何やってんだよ……」
もう一度聞いた声はみっともないほど震えていた。
「…紋が見られたらどういい訳するつもりだよ」