。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




改めて、


キョウスケと台所で二人きりになって、


あたしは自分で手当て中のキョウスケから脱脂綿を奪ってキョウスケの近くに椅子を引き寄せた。


「ったく、おめぇらまた喧嘩か?今度のは激しいな」


と呆れたように言って脱脂綿をキョウスケの口元に当てると、キョウスケは痛むのか整った眉を僅かにしかめた。





喧嘩の理由は―――


なんとなく分かる。





でも、それを聞き出せないあたし。


「てかアイツ…戒。最近、怒りっぽいな。カルシウム足りてねぇんじゃね?


それかあれか。血が多すぎるてヤツ?鴇田に分けてやりてぇよな」


あはは、とわざと明るく笑って言ったがキョウスケは相変わらずの無表情で


「さぁ、たまってるからじゃないですか?」


とさらり。


た………!


「たまってる!?」


キョウスケ!真顔で何言い出すんだよ!


あまりの衝撃的発言にポロリと脱脂綿を取り落としてしまったあたし。


だけどキョウスケは気にしてない様子で落っこちた脱脂綿を拾うと、ゴミ箱にぽいと放り投げた。


マイペースに絆創膏を取り出しながら、


「“ストレス”が」


とまたも真顔でさらり。


「あ、ああ!ストレスがってことネ!!」


「何想像したんですか」とキョウスケが呆れた顔で絆創膏の紙包装を剥いている。


「な、なんだっていいだろ!」


あたしは逆ギレしてキョウスケの手から絆創膏を奪った。


「ストレス溜めてるって…前はどーだったの?大阪に居るときとか…


あいつ何でストレス発散してたの?


てかあいつでもストレスとかたまることってあるんだな。好き勝手やってるイメージだったけど(←失礼)」


「好き勝手やってるってのは間違いないですけどね。


大阪に居るときは、兄弟喧嘩でストレス発散してましたよ。


お兄さんたちを病院送りにすると、あの人すっごい生き生きしてましたからね。


こんなの日常茶飯事です」


兄貴を病院送りにしてストレス発散とか……


やっぱりバイオレンス。





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