。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「あたしね、ずっと好きだった叔父貴に告られた―――
『愛してる』って言われて、
でも雪斗と同じ遺伝子を持ってるって思った時点で、
怖くなった」
あたしの両手はリコに握ってもらっているのに、僅かに震えていた。
リコが目を開いて、まばたきを繰り返す。
動揺していることは分かったけど、でも握ってくる手は力強かった。
それに安心した。
「どうしてなんだろう。
叔父貴は雪斗と違うし、あたしが嫌がることは今まで何一つしてこなかった。
大事に守られて、大事に育てられて―――
なのに急にその手が、叔父貴とまったく別物の手に思えて、どうしようもなく
怖かった」
「ちょっと待って……だって龍崎くんをお婿さんにする話を叔父さまが持ってきたんでしょう?だったら何で……」
「複雑な事情があるからだよ。関東と関西の協定はこの後の極道界を揺るがす強力なもの。
それがあるから、叔父貴はあたしに気持ちを伝えられなかったんじゃないかって、あたしが勝手に思ってるだけだけど…」
あたしはそこまで言って言葉を飲み込んだ。
「あたし―――……どうすればいいのか分かんないんだよ。
戒にどう接していいのか。
叔父貴に何て返事をすればいいのか」
あたしが俯くと、
リコはあたしの腕を引き寄せて、その体でしっかりと抱きとめてくれた。