。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
ぽんぽん…
キョウスケがあたしの頭を軽く叩いて
「そんな顔せえへんといてください。俺が悪いんやから。
俺、お嬢が笑った顔好きなんです」
そう言われてあたしは何て反応していいのか分からずぎこちなくキョウスケを見上げると、
「笑った顔が好きなんです」
もう一度言われて、
わ、笑えと??
にひっ
あたしは強引に笑顔を浮かべると引きつった笑みでキョウスケを見た。
「ぷっ。変な顔」
キョウスケがくっくっと笑い、
「お、おめぇが笑えって言ったからだろ!」
思わず勢い込むと、
「それでええんです。お嬢はお嬢らしく―――
元気なのが一番」
またも頭を撫でられて、キョウスケはキョウスケなりに元気付けてくれてることに気付いた。
こんな風に励ましてくれるけど、
さっき「俺にしませんか?」
って言ったあの言葉はきっと
本心に違いねぇ。
酷いのはあたし。
一瞬でもキョウスケの気持ちを利用して、寄りかかろうとしたあたし。
「ありがとよ、キョウスケ」
そして―――…ごめんね。
―――
―
その晩あたしは一人ベッドで横たわって考えた。
あたしは何でキョウスケじゃないんだろう。
何で叔父貴じゃないんだろう。
何で千里なんじゃないんだろう―――
何で…戒をこんなにも
好きなんだろう。
俺さまで我がままで、二重人格で甘えん坊で……
でも
それ以上に戒が優しいこと、
優しいところ、たくさん知ってる。
戒だってあたしを大切に想ってくれている。あたしを裏切るはずはない。
どんな理由があるにしろ、あたしは今
戒を信じなきゃいけないんだ。