。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「今度のは胃潰瘍かもしれません。かなり辛そうでしたから」
「胃潰瘍!?あいつマジで大丈夫なんか?」
「胃は一回やられると癖になるんですよ。二回目ですし歩けないこともないようですし、とりあえずは大丈夫だと思います。
でもまぁ点滴を打ってもらったほうが治りは早いんで」
「げ、原因は…?」
原因を知ったところであたしに何もできないだろうけど…
「恐らく過度のストレスですね。どうやら浮気はしてはなさそうですけど、
ほかに何か事情を抱えていそうです。
それをお嬢や俺に言えなくて一人で抱え込んでるのでしょう」
一人で―――……
「何で…」
あたしはキョウスケを見上げると思わずキョウスケのTシャツを引っ張った。
「理由は分かりません。ですが恐らく、
新垣さんの私情が絡んでいるのかと…」
新垣 エリナの―――……
「彼女が戒さんに近づいたのも、好きとかそう言う理由じゃなく、戒さんにしかできない方法で助けを求めたんでしょうね」
キョウスケが冷静に言ってあたしは目をぱちぱち。
「助け―――…?マドンナが何かに困ってるのか?そういや前にストーカーされたとか言ってたけど…」
「ストーカー…?」
キョウスケが目をぱちぱちさせて、
「いや!それかどうか分かんねぇけど、そうかなー…って、ちょっと思ったりして…」
「だとしたら戒さんだってはっきりそう言うでしょう。
でも言えないってことはほかに事情があるとしか思えませんね」
キョウスケがため息をつく。
「戒さんはああ見えて口が固いんです。そりゃ貝のように」
「お前うまいこと言うな」
「ありがとうございます。
戒さんは人の秘密を不用意にばら撒く人じゃないんです。
なので、戒さんが俺たちにも言えないってことは、何らかのふしに彼女の秘密を知って、
その秘密は大きなトラブルを呼び、解決に戒さんが手を貸してる―――
と考えるのが妥当ですね」
キョウスケがまるで探偵なみの推理をかまして、あたしは「ほー!」とか「はー」とか頷くしかできなかった。