。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「とりあえず、過剰に心配すると戒さんもプライドとかありますから
かっこ悪いとか思って今の戒さんなら益々胃を痛めるかもしれません。
胃痛の原因はストレスですから。
胃を患ってること、今のところ俺とユズさんしか知らない状態ですので、お嬢はいつも通りしていてください」
そう念押しされて、あたしはぎこちなく頷いた。
普段通り―――…できるかな…
「御園医院で診てもらったら連絡します。ご迷惑をお掛けします」
とキョウスケが小さく頭を下げて、
「い、いや。おめぇが謝ることなんて何もねぇし」
とあたしの方が慌てた。
「てかこっちこそごめん。
あたし彼女なのに、ちゃんとできなくて」
ちょっと項垂れると、
「“彼女”だからですよ。
戒さんも余計な心配掛けたくないってことと、あとかっこ悪くて見せられないって思ってるんですよ。
男は自分が弱ってるとこ、恋人に見せたくない生き物なんです」
キョウスケが爽やかに笑って、
「でも気になりますね。新垣さんのこと。
彼女の完全なる私情なら俺も気にならないですが、
これが盃に関わってるのかどうかも分からないし―――」
とちょっと考え込んだ。
「そうだよな…話がでかくなってくるとアイツ一人で解決なんて無理じゃね?」
「まぁしらばらく様子見ることにしましょう」
と結局今ここであたしらが悩んでも何もできないし、キョウスケが早々に決断して
再び戒の部屋に入っていった。