。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
男の年齢は40ちょいぐらいか。
スラリと身長が高く、いかにもスポーツマンと言った感じの白いジャージ姿だった。
日焼けした肌にその白いジャージが良く合っている。
「誰?知り合い?」
あたしが聞くと、新垣 エリナは無言で一歩後退してあたしの後ろに隠れる。
男は白い歯を見せて爽やかに笑うと、
「どうしたんだよ、俺だよ」
と手を振って近づいてきた。
その左手薬指には―――
リング……?
年齢から言ってこの男がリコの話してた男―――…?
あたしはそろりと新垣 エリナを振り返ると、新垣 エリナは益々顔を俯かせて顔色を悪くさせている。
「エリナの…友達?」
男があたしに聞いてきて、あたしはぎこちなく頷いた。
「同じ学校です」
「同じ学校?じゃぁ俺のこと知らないかな。
俺テニス部の外部コーチなんだけど」
男はにこにこ聞いてきて、あたしはぎこちなく首を横に振った。
テニス部の外部コーチ…
あたしは帰宅部だし、常勤の教師すらあまり顔を覚えてない。(つまりそれぐらい多いってことだ、と思いたい。←単に記憶力が悪いダケです)
「新垣さんとは…?」
あたしが探るように目を上げると
「エリナは一年のときテニス部だったんだよ。そのときに知り合ったんだ」
“エリナ”って呼び方がちょっと引っかかった。
あたしが眉をぴくりと動かせると、
「ああ、テニス部は親しくなるためみんな下の名前呼びなんだ」とコーチが先回りした。
「そう…なんですか」
頷いたけど何かしっくりこない。
あたしは部活に入ったことがないから分かんないけど、そうゆうものなんか?