。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
よく冗談でリコに抱きついたりはするけど、こうやって改まってぎゅっと抱きしめられると
びっくりしちまう。
あたしはリコの腕の中で固まって目を開いた。
リコの腕の中は戒や叔父貴とは違う、どこか甘くてふわふわと柔らかい香りが溢れていた。
「何て言ったらいいのか分かんないけど、でも!朔羅は朔羅の思うとおりに行動すればいいんだよ」
そう言われて、あたしは目をまばたいた。
「そりゃ悩むよね。ずっと好きだった人にいきなり告られて、動揺しない方がおかしいって。
だけど朔羅が今本当に好きな人と一緒に居るのが一番。
朔羅は―――…龍崎くんと叔父さまとどっちが好き?
そりゃ好きの種類は違うかもしれないけど、これからずっと一緒に生きていく人は
永遠に手を取り合っていきたいって人は
どっち?」
そう聞かれてすぐに頭を過ぎったのは、
太陽みたいな明るい笑顔の
戒だ。
「あたし―――戒が好き。
ちゃんと伝えなきゃ。ちゃんと叔父貴に断って、
ちゃんとあったこと全部戒に伝える―――」
ぎゅっとリコを抱きしめると、リコも同じだけの強さであたしを抱きしめてくれた。
「それでいいんだよ」
優しいリコ。
いつもあたしを助けてくれて、支えてくれてありがとう。
リコ、大好きだよ。