。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
千里の入院している病院に着いて、あたしたちが病室に向かおうとすると
千里ママが病室の中こっそり覗いている。
「おばちゃん、どうしたの?中に入らないの?」
あたしが声を掛けるとおばちゃんはビクっと肩を揺らして振り向いた。
「しー!今いいとこなのよ!」
いいとこ…?
ちょっと気になってあたしたちもおばちゃんと同じように、ちょっと開いた扉の中を覗きこむ。
病室のベッドには千里が横たわっていて、その傍らには
……女の子??
遠目でちょっとわかりづらいけど…結構可愛い…
二人はぎこちなくも会話を繰り出している。
「あ、あの子、隣のクラスの子だ」
と新垣 エリナが教えてくれた。
「え?同じガッコ??」
「うん、そうだよ」
「ねぇ朔羅ちゃん、この子はだぁれ??もしかして千里の彼女!」
と、おばちゃんがあたしたちの後ろから覗き込み、新垣 エリナの方を見る。
「違います。この子はあたしと同じ学校で、ついでにバイトも同じなんです」
と否定しながら説明すると
「すっごく可愛い子!♪ね、千里のお嫁さんになってくれない?」
とおばちゃんがぶっ飛んだことを言い出す。
新垣 エリナが口元に手を当てて驚いたように目をぱちぱち。
「あ、気にしないで。おばちゃんの挨拶みたいなもんだから」
と真面目に言うと、新垣 エリナは笑った。
「でもあの二人…仲良さげじゃね?
は!もしかしてギプスにメッセージ書いた子ってあの子!?」
「ギプスにメッセージ?あの“好きです”って?じゃぁあの子が千里のお嫁さんに!?」
おばちゃん…どんだけ嫁を欲してるんだよ…