。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
キョウスケの戯言はおいといて~
「新垣 エリナのことも気になるけどさー…
二人で帰る途中サ、
タチバナの友達ってヤツに偶然会った」
「タチバナ―――…て、あの高架下に居た男ですか?」
むくり、とキョウスケが起き出して来てあたしは頷いた。
「うん。そいつは普通のサラリーマンぽいけど…」
言いかけてはっとなった。
サラリーマン風の男…
「高架下であたしを襲うように不良どもを雇った男―――…そいつにも該当するんじゃね?」
「筋もんですか?」
キョウスケの視線も険しくなってあたしは首を捻った。
「いや、ありゃ筋もんじゃねぇな。カタギだ。間違いねぇ。
てかヤクザと関わりのなさそーな平和そーなヤツだったよ」
「そう見せてるんじゃないですか?」
「いや、奥さんの尻に敷かれてるっぽいし…」
「奥さん…?既婚者ですか?」
「あーまぁなぁ指輪してたし…って、そうだ!
その男が言ってたんだよ。
タチバナはサクラだ。って」
「桜……?」
キョウスケは目をぱちぱちさせてあたしを窺う。
「わけ分かんねぇだろ?」
同意を求める意味で聞くと、キョウスケは大人しく頷いた。
「サクラって普通に考えたら、盛り上げ役みたいな…仕込み客のことですよね」
盛り上げ役―――
仕込み客……??
ああ、あたしの名前じゃなくそう言う意味…
「てかアイツが?
てか益々ワケわかんね」
あたしは思わず頭を抱えた。