。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
―――
――
夢はそこまでだった。
「――――…!」
あたしは目を開いて、天井を見つめた。
そっと鼻を覆うと、
まだ―――…あの香りが残ってる。
あたしのすぐ隣でヒツジが転がっていて、そこから香りが漂ってくる。
あたしは起き上がってヒツジを手にとった。
タチバナ―――…あたしは昔あいつと会ってたんだ。
今よりだいぶ若くて、戒と同じぐらいの年齢ぐらいだったけど、間違いない。
あたしはベッドから起き上がると、慌ててチェストの奥に仕舞い込んだアルバムを漁った。
乱暴な仕草でアルバムを一枚一枚捲ってその一ページで手を止めた。
叔父貴の高校生のときの写真。
制服姿で映ってる。
黒い学ラン姿。学ランなんてどこの高校も似たような形してるけど、あたしが確認したかったのはそんなところじゃない。
詰襟の端に差してある校章。
赤い桜を象ったバッジで白い文字で難しい漢字が書いてあった。
「これだ―――……夢で見た…タチバナのシャツに刺繍してあった校章。
同じだ―――…」
タチバナは―――叔父貴と同じ高校だった。うちに来てたってことは、叔父貴が呼んだに違いない。
ってことは叔父貴の同級生で、親しいツレだったってことだ。
バッ!
あたしはアルバムを引っつかむと、部屋を飛び出た。