。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
聞き込み―――…と言っても一体どうするのか。
ちょっと心配そうにキョウスケを見てると、キョウスケは拾ったボールを走ってきた女子の一人に手渡した。
「すみません、ありがとうございます!」
ウェア姿の女の子たちは揃って頭を下げて、キョウスケを見るとはにかみながら笑った。
「テニス部の人たちですか?
新垣 エリナさんて人知ってますか?」
聞き込みどころかいきなりどストレートなキョウスケに、あたしの方がびびった。
「ちょっ!」
思わずキョウスケの袖を引っ張ったけれど、キョウスケは構わず
「知らないですか?」
とあたしが見たことのないようなにっこり極上爽やかスマイル。
え、笑顔が眩しすぎるぜ!!
キラキラしたオーラを放ちながらテニスボールを持つキョウスケは、「テニスの王子様」と言うよりも、
むしろ後光…仏様の域だ。
その悪意の欠片もない眩しいキョウスケの笑顔に、女の子たちも顔を赤くして頬を緩める。
「…し、知ってます!一年のときチームメイトだったから」
と一人が答えて、
「あの…お兄さんはところで…」と一人が怪訝そうにキョウスケ、あたしの順に見てきて。
ぅわ!どーしよ!!言い訳考えてなかったよ!
とあたしだけがキョウスケの隣であたふた。
そんな焦ってるあたしの隣で
「俺、新垣さんの彼氏です」
とキョウスケがとんでもないことを言い出した。