。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「え…でもあのコーチは結婚してるって聞きましたけど…」
キョウスケがさも驚いたようなリアクションで不安そうにコートの中を見る。
「新垣さんから?」
女子一人の問いかけにキョウスケは無言で頷き、
「新垣さんもね~…どうゆうつもりなんだろう。
だって不倫でしょ?」
「やっぱり付き合ってるてのは噂だったんだよ。だって彼氏だっているし」
女の子たちはあたしたちの傍でひそひそ。
「でもクラブの子が見たって言ってたよ」
「見たって何を?」
キョウスケが聞いて、さすがにその子も言い辛そうに俯いた。
「な、何を見たの!」
あたしが先を促すと、女の子たちはキョウスケを気にしながら
「に、新垣さんがあのコーチとホテルに入ってくとこ見たって…」
とバツが悪そうに上目遣い。
ホテル―――!!?
キョウスケもその事実に驚きを隠せないのか口元に手をやって
「エリナ……俺だけを好きって言ってくれたのに…」
と一言呟いて項垂れる。
キョウスケ!?
嘘1,800もいいとこだな!!
てか演技派だな、おめぇ!意外な特技を発見??
「あの…すみません!でも…新しい彼氏さんができたんなら、もう別れたかもしれないし!」
と女の子たちはキョウスケの落ち込み(演技だけどね)にあたふた。
「それっていつぐらいのことですか…?」
キョウスケがさらに聞いて、
「えっと…まだ新垣さんが在籍中の話だったから、春頃だったかな…
でもそんな噂が立って新垣さん居づらくなっちゃったのかな…」
「そう…ですか。元カレと遭遇して平常心で居られなかっただけかな」
とキョウスケは考えるフリ。
「どうもありがとう。二人で話し合ってみます。
このことは内緒にしておいてください」
キョウスケが力なく笑うと、
「が、がんばってくださいね!」
と女の子たちは応援モード。
「ありがとう」
女の子たちに笑顔で手を振っていたキョウスケ……
だがその数秒後
「聞きたいことは分かりました。次へ行きましょう」
さっきのキラキラ…もとい後光を消灯していつもの無表情。
キョウスケ…さすが戒の幼馴染だけあるな。
こいつも二重人格。