。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「何だっ!火事か!?」
火災報知機のボタンを押したのはきっとキョウスケだ。
ごくり、と生唾を飲み込んで心臓の辺りでぎゅっと拳を握り事態を見守っていたが
ほとんどの先生たちが様子を見に職員室を出て、だけど数人は職員室に残ってる。
非常時は誰か残ることになってるんだろう。
この職員室が空になるのはなさそうだ。
「火事かもしれない!龍崎、お前も避難しなさい」
先生は慌てたが、
「ごめん!先生っ!!」
あたしは目の前に居る親切な先生に手を合わせて
「?」マークを浮かべている先生の顎に一発パンチ。
ドゴッ!
あたしの拳は先生の顎にまともに入ってうめき声も挙げずに一発KO。
「りゅっ!」
もう一人残ったちょっと小太りの男の先生が驚いて叫び声を挙げそうになったが、あたしは机を飛び越えてそのままの脚で先生の足を脚払い。
バタッ!
先生は最後まで言葉を言い切らずにみっともなく床に倒れたが、慌てて起き出して職員室の外へと走る。
ちっ
太ってるくせに身のこなしが早いヤツだぜ!
慌てて追うと、天井から降りてきた何かの黒い影が先生の顔面に直撃。
先生はうめき声も上げずに今度こそ後ろに引っくり返った。
職員室上部の小さな窓からぶら下がっていたのはキョウスケで、どうやら懸垂の要領で蹴りをかましたよう。
「避難経路は確認した方がいいですよ、先生」キョウスケはそっけなく言って
ストッ
窓から手を離して地面に脚をつくと、
「お嬢、大丈夫ですか?」
と真顔で聞いてきた。
「大丈夫じゃないのは、そこに伸びてる先生たちだけだ」
「職員室は安全じゃありませんね」
キョウスケは伸びてる先生たちを無表情で見下ろし扉を閉めた。