。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
戒が大きな目を開く。
淡い琥珀色をした瞳に不安そうなあたしの姿が映し出され、ゆらゆら揺れている気がした。
「俺は―――…」
戒が言いかけたときだった。
「ただいま戻りましたー」
玄関の開け閉めする音が聞こえて、あたしたちは思わず顔を合わせた。
組員の声だ。
なんつうタイミングの悪さ。
「……こんなとこ見られたら、また何言われるか分からねぇからな、
戻ろっか」
戒が言い出して、カップを手に立ちあがる。
戒の返事は聞けず。
それでも、これ以上困らせるとまた胃の痛みが悪化するかもしれない
と言う心配もあって、あたしも大人しく席を立ち上がる。
心配―――…してるのもあるけど、ホントは少し怖かった。
『ごめん、ほかに好きな子ができた』
って言われたら。
それを考えると、これ以上聞けない気がする。