。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
カーテンを閉め切った暗い部屋。明かりも灯さずに
戒はあたしを抱きしめると、何も言わずにキスをしてきた。
戒とキス―――…
それははじめて虎間とキスしたときのように熱くて、
情熱的でとろけるように甘い―――
どうしようもなく心臓が跳ねた。
「さっきの返事。
まだ言うてなかったよな。
俺はお前を特別に思ってる。
朔羅を―――
愛してる。
どんなことがあってもお前を傷つけたない」
戒があたしの頬をそっと包み、あたしは涙で滲む視界で戒を見上げた。
「戒―――…あたしも…」
あたしは戒の首にぎゅっと縋ると、戒はそれ以上の力で抱きしめてきた。
戒はあたしの頬に流れる涙をそっと指の腹で拭い、またも優しく口付け。
「ごめんな、心配かけて」
角度を変えて何度も何度も―――…
口付けの合間に
「ごめん…」
戒の謝罪の言葉を聞いたけれど、あたしはその言葉を聞きたくなくて息継ぎをする間も与えないように唇を重ねた。
あたしたちは壊れた人形のように抱きしめあい、ただ口付けを交わす。
襖の向こうで賑やかな世間話を繰り出す組員の声を聞いて
戒もそれを気にしてか、傍にあるつっかえ棒で襖を開かなくすると
改めてあたしと向き合い、薄暗がりの中で目が合うと
どちらからともなく畳の上に崩れた。