。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「誰あれ?」
戒が探るようにこそっと聞いてきて、キョウスケは無表情で彩芽さんを遠目で眺めている。
「ドクターの…恋人だよ…」
あたしが答えると、
「「え゛!?」」
二人は声を挙げて目を丸めた。あたしと全く同じ反応だぜ。
やっぱそーだよなぁ。誰だってあんな変態でよく分からん医者と、こんなに美人で可憐でしとやかな人が恋人同士って発想には行き着かないよなぁ。
「粗茶です」
美人を目の前にしてか、緊張しているのかマサが声を上ずらせて湯のみを差し出した。
「リコさんもどーぞ★」
とユズ…もとい譲(ユズル)が軽い調子で、何となく流れで居間に勧められたリコをちゃっかり自分の隣に座らせているし。
リコは恐々頷き、大人しく腰を降ろした。
ちなみに同い年のタクとユズは犬猿の仲だ。
顔を合わせると、まず喧嘩をする。
(タクが貸金業の仕事から帰ってきていないことが幸いだ)
タクがリコのことを気に入ってるって知っててわざとしてるのかな、と思ったが、
「俺の番号ッス♪リコさんの番号教えてもらえませんか?」
と、これまたちゃっかりケータイを取り出してるし。
どうやらユズはリコのことが気になっていたようだ。
「俺、前回お会いしたときのリコさんのナース服にやられったス!♪仲良くしてください」
前回……
ああ、キョウスケが風邪ひいて、そのとき見舞いにきてくれたっけ。
(※Cherry Blossom Ⅱ参照)
ドクターに借りたナース服を勝手にリコに着せて面白がっていたのは戒。
だけど、どうやらユズの恋心を刺激しちまったようだ。