。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「美人だ」
「可憐だ」
「こんなムサ苦しい場所に華が二輪」
方々で野郎どもの野太い囁き声が聞こえる。
てか、花って!あたしが居るじゃねぇかよ!!(←カウントされていません)
しかし
彩芽さんは多少免疫がありそうだが、こんな屈強で強面揃いの組員を前に少しだけ引き腰。
リコも顔色を悪くさせて、あたしを不安そうに見上げてきた。
バンっ!!!
あたしは思い切りちゃぶ台を叩いた。
「てめぇるぁあ゛!二人に何かしてみろ!!東京湾直行だ!!」
あたしの一喝に、
「「「へ、へい!!!」」」
組員たちは肩を縮こまらせて、頷いた。
ふぅ。久しぶりに出たぜこの台詞。
だがしかし、この技を前にリコどころか彩芽さんも唖然。
「ね、年季の入った怒鳴り声ね」
彩芽さんは苦笑い。リコは「朔羅が一番怖いよ」と、ちょっと恨みがましく目を上げてきた。
入り口で突っ立ていた戒とキョウスケも二人して苦笑を漏らしている。
「そ、そだ!お前らも、こっち座れよ」
あたしは慌てて二人を呼び寄せて、ちょっと悩んだけど
「戒、お前リコの横に座れ。防波堤だ。キョウスケは彩芽さんの隣」
と指図すると、二人は言われた通り大人しくそれぞれの位置に腰を降ろした。