とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
右京の胸を押し返そうとすると、腰に回った彼の腕が忍を引き寄せた。
が、次の瞬間腹部に小さな衝撃を感じて二人は顔を見合わせた。
「…今の…なに!?」
初めて感じたそれに右京が驚いた顔をする。
忍はクスクスと笑うと彼の手を取って自分の腹部を触らせた。
「…判る?」
「すげぇ…!胎動!?」
「元気いっぱいね…パパに似た男の子かな…」
「嫉妬してんだよ…俺が忍を独り占めしてるから。」
貴重な体験だと興味津々な右京を見て、忍は心から今幸せだと思う。
「早く会いたい…」と独り言を溢す右京の頬にキスをする。
「あと4ヶ月くらいで会えるよ。」
「そんな早いの!?…まだこんなちっこいのに!?」
どうやら何も知らないらしいらしい“パパ”に忍は「あのね…」と説明をするのだった。