とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「例えば…」とアスタロトは腕を組みながら人差し指を頬に当てた。
「…いきなり停電が起きたり…」
そう言い終わると同時に辺りの照明が突然落ち、数秒で非常用電源に切り替わる。
ホテルマンが慌ただしく右京達の前を横切って行った。
右京の驚く顔を見て彼女は満足そうに笑う。
「…お前…何を…!」
「ふふ…別に私は貴方さえ手に入ればそれでいいんだけど…あの方はどうしてもベルセルクの子供が欲しいらしいのよね。」
「ふざけるな!」
「…もし今…地震でも起きたらどうなるかしら…」
右京はアスタロトのしようとしている事をやっと理解した。
…狙いは忍だけじゃない…ここに居る人間全員…!
「俺が言いなりになると思ってるのか!?」
「どうかしら…やってみないと判らないわ…」
アスタロトはそう言って不敵に笑い続けた。