とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
◇
ホテルで夕飯を食べている目の前の夫は、あれからずっと機嫌がいい。
基本的に右京は解りやすい性格だと忍は思う。
すぐ顔に出るし、隠し事が下手なのだ。
忍が彼に過去の女関係を聞いてもキッパリ「なんもない」と言われ、それが嘘でない事は一目瞭然だった。
忍的にはその手の話が一つや二つあった方が気が楽なのだが…。
「私だけ?…フェアじゃない…」
「俺、過去の事とか気にしないし、別に引け目を感じる必要ないんじゃない?」
「そうなんだろうけど…なんかなぁ~」
右京は苦笑しながら忍のグラスにビールを注ぐ。
「忍がどんなに男たらしだったとしても、今は俺の忍だろ?」
…“俺の忍”…。
この人は何故平然とそんな台詞が吐けるのか…。
「…って、その前に“男たらし”ってなに?」
「例えだよ」と笑う右京に忍はわざとらしく口を尖らせた。
ホテルで夕飯を食べている目の前の夫は、あれからずっと機嫌がいい。
基本的に右京は解りやすい性格だと忍は思う。
すぐ顔に出るし、隠し事が下手なのだ。
忍が彼に過去の女関係を聞いてもキッパリ「なんもない」と言われ、それが嘘でない事は一目瞭然だった。
忍的にはその手の話が一つや二つあった方が気が楽なのだが…。
「私だけ?…フェアじゃない…」
「俺、過去の事とか気にしないし、別に引け目を感じる必要ないんじゃない?」
「そうなんだろうけど…なんかなぁ~」
右京は苦笑しながら忍のグラスにビールを注ぐ。
「忍がどんなに男たらしだったとしても、今は俺の忍だろ?」
…“俺の忍”…。
この人は何故平然とそんな台詞が吐けるのか…。
「…って、その前に“男たらし”ってなに?」
「例えだよ」と笑う右京に忍はわざとらしく口を尖らせた。