とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「……なにこれ……」
「ネコちゃん。」
「いや、それくらい見ればわかるよ…」
「さっき道端で震えてたの…。」
ニャーと鳴くソレを凝視してから忍に視線を移す。
「さっき道端で震えてたの…。」
「…なんで二回も言う…」
懇願するような一人と一匹に、はぁ…とため息をついて右京はガシガシと銀髪を掻いた。
「わかったからそんな目で見るな!」
「飼っていいの!?」
「そのつもりで拾って来たんだろ?…でも…」
右京は忍から猫をヒョイとつまみ上げた。
「まずは風呂だな…」
ジタバタと暴れる猫の首根っこを掴んで目線を合わせる。
「お前、きったねーな。どこに居たんだ?」
猫と会話をしながらバスルームに向かう右京を見て忍はクスッと笑った。